Case 6『エネトピア』の裏側

Case 6 ネーミング

エネトピア

川嶋 洋輔(ブランディング・ディレクター)

書籍『事例で学ぶブランディング ランドーのデザイン戦略大公開』に収録する事例をプロジェクト担当者が舞台裏や背景を交えながらご紹介します。

LandorBook_enetopia_Top

このプロジェクトにどのように関わったのか?

鳥取ガスのコーポレートブランド刷新に際して、ネーミングをはじめVI開発、TV CM、新聞広告制作、エンゲージメントなどプロジェクト全体のリードを担当しました。

携わった当初、地域のインフラを100年支えてきたブランドを変えていくことを名誉に感じる一方、ガラッと全て新しくすることがクライアントにとって本当に良いことなのか慎重に検討する必要がありました。

長く親しまれ、確立されたブランドをリニューアルする場合、顧客や社員との間に築いてきた関係性を考え既存のブランド要素をできるだけ活用し、あえて小幅なリニューアルを進めることが多いからです。

特にネーミングは、根幹に関わる重要なブランドアセットです。鳥取ガスの場合もドメインをわかりやすく残したマイナーチェンジの名前で行くべきだという意見もありました。

しかし、次の100年へのビジョンをクライアントと共有すればするほど、思い切って事業そのものを変化させる姿勢を表す、新しいネーミングにすべきという結論に至りました。

ブランドを理解し、クライアントと目線を合わせ、未来の話を率直に話せるようになるまで突き詰めることでネーミングやブランドのあり方が見えてくる、そうした原理を再認識するプロジェクトとなりました。

『事例で学ぶブランディング』発売に際して皆様へのメッセージをお書き下さい。

ネーミングは、誰にでも出来ると捉えられることが時にあります。

しかし、ネーミングこそ、ブランドの核となるコンセプトを端的かつ明確に発信する役割が求められるため、右脳と左脳の究極的な結晶の形と言っても過言ではありません。

長らく親しまれるネーミングはブランドの核心をうまく捉えています。例えすぐにその意味が分からなくても、由来を知った時、なるほどねと感心したり、より好感がもてたり、と身近な製品やサービスのネーミングで、皆さんもそのような体験が思い当たることがあるのではないでしょうか。

一方、現状の事業やサービスという近視眼で開発されたネーミングや、流行り言葉からででてしまったようなネーミングは、ブランドのもつ普遍的な魅力を伝えることができないため、長続きしません。

未来に渡り愛されるには、思いつきではなく、ブランドが持つ本当の魅力や目指すところを理解し吟味した上で、その短い文字数の中に凝縮して伝えることが必要になるからです。

書籍のエネトピアの事例やネーミング開発の章では、そんな長く愛されるネーミングを実現するプロセスを惜しみなく紹介しています。

ネーミングに携わったばかりの方にも、経験がある方にとっても、気付きや示唆があるものだと自負しています。ぜひ、ご一読ください。

0I2A1961_thumbnail

川嶋 洋輔(Yosuke Kawashima)

主に日本におけるグローバルリーディング企業に対してブランドコンサルティングを実施。対象は、食品、飲料、日用品、自動車、化学、半導体、機械、製薬、政府自治体など幅広いクライアントのブランド強化の支援を行う。

LandorBook_0事例で学ぶブランディング
ランドーのデザイン戦略大公開
ISBN:978-4-8025-1144-5
定価:本体2,800円+税
仕様:B5判/192ページ
出版社:ビー・エヌ・エヌ新社 (2020/4/20)
著者:ランドーアソシエイツ
デザイン:ランドーアソシエイツ
Scroll to Top