Creative Lab: MITATE ー わがしのみたてでは、毎回一つのテーマを決め、そのイメージや解釈を和菓子で表現していく取り組みです。
Creative Lab: MITATE ー わがしのみたて
和菓子とブランディングについて
「五感の総合芸術」とも言われる和菓子。
視覚 – 美しい情景を想起させる意匠
聴覚 – コンセプト凝縮した銘菓の響き
嗅覚 – 食材のほのかな香り
味覚 – 口の中で広がる味
触覚 – 質感や食べた時の舌触り
これらの繊細な感覚をデザインし、テーマに合った一つの世界観を作り上げるプロセスは、
ブランドを創っていく工程と共通するものがあります。
1. Theme
今回は夏にちなんで「海」をテーマに、和菓子を制作します。
2. Brainstorming / 3. Concept-making
マインドマップを作ることで、様々な角度からテーマを紐解き、コンセプトを明確にしていきます。
・方向性1 自然の情景
→さざ波、水平線、砂浜、青空
・方向性2 ビーチアイテム
→ビーチボール、浮き輪、パラソル
・方向性3 海の生物
→熱帯魚、ひとで、貝、カモメ、クラゲ
・方向性4 海にまつわる物語
人魚姫、浦島太郎、海の神(ポセイドン)etc…
→マーメードの尻尾、亀、冠
4. Sketching
コンセプトに沿ってどのような素材やカタチでそのコンセプトを表現できるか、頭の中を整理するためにノートに書き出していきます。
5. Prototyping / 6. Outcome
スケッチをもとに、実際に和菓子を作りながら微調整していきます。
最終的に3つの和菓子が完成しました!
No.1 海月
「海月」という異名を持つ「くらげ」。
海に浮かぶ満月のように、丸く幻想的な輝きを放つ生命体をイメージした、ういろうの和菓子。
No.2 波かんむり
ギリシャ神話に登場する海の神様「ポセイドン」。
そんな海の王者がかぶる波の王冠をイメージした、練り切りの和菓子。
No.3 泡沫(うたかた)
(水に浮かぶ)泡・しぶきを意味する「泡沫(うたかた)」という言葉。
たちまち消えてなくなる様から、はかなさの象徴として引用される泡(あぶく)を、道明寺を使って表現しています。
すぐに過ぎ去ってしまう夏のはかなさをカタチにした錦玉羹の和菓子。
*道明寺:もち米の一種
抽象度の高い表現が多いが多いからこそ、菓銘(タイトル)の付け方だけでも大きく印象が変わる和菓子。
皆さんも和菓子の銘に込められた想いやストーリーを含め、その世界観を味わっていただけたら幸いです。
Yuki Sugimoto / Designer