ディレクターの視点 ブランドコンテンツ


「コーポレートブランドへの求心力を高めたい。」「ブランドの定義を整備したが、一般の社員に、なかなか具体的にイメージしてもらえない。」
ここ数年ランドーのお客様から、自分たちのコーポレートブランドを社内外に発信する為の施策–ブランドコンテンツに関する相談をいただく機会が増えています。

これまでブランドコンテンツのお手伝いをした中で、非常に反響が高く効果的なものの一つは、創業者や創業当時のある意味「ずばぬけた」エピソードをショートムービーなどに仕立てたコンテンツです。

どの企業にも創業時は失敗もあったり、想像を絶する苦難があったり、空前絶後のチャレンジや、奇想天外な発想があったりするものです。

例えばランドーのお客様の例で言うと、

川崎重工の創業間もない頃、神戸港で最初の造船ドックを建造した工事は、前代未聞の難工事。1度は水が噴きあがり、最初からやり直すことを経験しながら も、叡智をつくして最後まで完成にこぎつけ、会社発展の可能性を切り拓いた。まさに川崎重工のブランドプロミスPowering your potential(社会の可能性を切り拓く原動力になる)の最初の実例の一つ。

UDトラックスの創業者、安達堅造は、最初に開発したトラックの堅牢性をテストするため、社長自らハンドルを握り、日本列島の長さの1.5倍に相当する 3000kmに及ぶ悪路でのテストドライブを敢行した。結果、携行した修理道具と交換部品はまったく使用せずに走破。そのスピリットはUDトラックスの UD(Ultimate Dependability-究極の信頼)という名前に今でも息づいている。

ちなみに手前味噌ながら、

ランドーの創業者、ウォルター・ランドーは、サンフランシスコで創業した際、当時完成したばかりのゴールデンゲートブリッジの開通により不要になったフェ リーボート、クラマス号を買い受け、クリエイティブのスタジオとして使用した。クラマス号は、今でもランドーのクリエイティビティにもっとも重要な、「既 成概念にとらわれない発想」のシンボルとなっている。

このようなエピソードは素直に聞いていて面白いし、他の人にこれ知ってた?と話してみたくなるものです。

Brand is what brand does.(ブランドとはその行動の実態と蓄積でしかない)と言われることがあります。ブランドらしさを定義する上で「革新性」「信頼性」などの言葉を使 える企業は他にもあるかもしれませんが、ある企業の実体験はその企業にしか語れないものであり、言葉によるブランドの定義に独自性を付与するのです。

創業当時のストーリーには失敗や困難もあるからこそリアルな感動を呼び、結果としてブランドへの愛着が高まります。どの企業にも以外と知られていない創業 時の物語がたくさんあるはずで、それをエモーショナルに伝える為のコンテンツを作ることは、社員に向けてブランドらしさとはどのようなことかを具体的にイ メージしてもらう題材としても、他社との差別化を図る上でも非常に効果的なものといえるでしょう。
出典:
■川崎重工: 神戸第1ドック建造プロジェクト
https://www.youtube.com/watch?v=P4Y2pW1zds0

■UDトラックス:難所・難路を踏破した3,000kmテストラン
http://www.udtrucks.com/…/1930/the-legendary-3000km-test-run

■ランドー:フェリーボート、クラマス号
http://landor.com/#!/about/history/the-klamath/

 

Masayuki Urushibara Design Director

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